ダニエルのテクニカル分析

先物・為替のテクニカル分析について考えます。同名の仮想通貨投資家の方とはまったくの別人です。

DN_MAFCD2の利用法について その2

前回解説した DN_MAFCD2 の利用法について、もう少し解説してみたいと思います。

 

前回「移動平均乖離予測のインディケーター DN_MAFCD2 は、その振幅の分析を目標として開発されています」と紹介しました。この振幅をいろいろな角度から観察し整理、分析することで、さらにさまざまな情報を得ることが可能となります。

 

まず前提として私の開発するダニエルツールスの基本について簡単に解説します。

 

ダニエルツールスでは株価等の値動きが波から構成されていることを前提として単純移動平均線を用いたチャートのテクニカル解析を行います。さらにこららの株価等の値動きには基準値が存在すると仮定し、回帰分析等の手法を用いて仮の基準値を定め、株価等がどのように基準値に収束して行くのかを求めてチャート上にインディケーターとして描いていきます。

 

したがって現在の株価等が大きく動くならば、基準値もそれにしたがい変更し、再度計算しなおして各インディケーターを再描画します。

 

この点を把握しているかどうかでダニエルツールスの見方がずいぶんと変わってくるかと思います。

 

当ブログにおいて日々225の値動きを予想している手法はまさしくこれで、長期、中期、短期の基準値をそれぞれ求め、それらにどのように収束していくかを予想し解説しています。

 

たいていの場合短期的な思惑が長期的なトレンドへ与える影響はわずかです。もし基準値が変化したとしても、いずれそこに収束して行くであろうと再度仮定し直して、チャート全体とインディケーターを見直すといった作業を繰り返しているだけです。この手法は比較的上手く機能するのではないかと私個人では考えています。

 

さて本日の主題であるDN_MAFCD2(以下MAFCD2)について、前回の解説とはすこし違った分析手法を解説して行きましょう。

 

今回はいつもとは志向を変えUSDJPYの日足チャートで解説してみましょう。まず以下のチャートをご覧ください。

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MAFCD2は上から12/48、24/96、96/192のパラメータで描いています。最後の192については現在のMAFCD2ではメモリ管理の都合上最大値を144に制限していますので、一時的に制限を外してあります。

 

たとえば一番上の12/48で描かれたMAFCD2は、48日線を基準として12日線がどのように振幅する動作を見せ、それらがどのようなサイクルを描いているかを示します。以下同様に96日線に対する24日線、192日線に対する96日線の関係となります。

 

ダニエルツールス全体に言えることですがパラメータは各自の好みで変えてかまいませんし、結果はすべてがほぼ同じような結果に収束します。この解説は長くなるので割愛しますが、時間軸を補正することで正しい値の相関関係を求めることのできます。これがダニエルツールスの最大の特徴となります。

 

では上記チャートから何が起きているかを読み取ってみましょう。まずは一番下の96/192に注目してみます。

 

中央の白のラインがゼロ基準で192日線を示します。192日線はゆったりと長いトレンドを描いていますので、これに対して緑の中期96日線がどのような関係性を持って推移するかが読み取れます。また黄点線は実際の細かい値動きと192日線との相関性を描いたものとなります。そして一番上のローソク足チャートには参考として192日線をDN_MAFの時間補正ありで描いています。

 

96/192のMAFCDでは、96日線が比較的ゆったりと振幅しサイクルを描いている様子がわかるかと思います。そして波の上端、下端が白い点線のボラティリティバンドに最接近、または抜けて折り返すことでトレンドが切り替わります。一区画で1.5ヶ月ですから短くて2ヶ月、長ければ5~6ヶ月程度のトレンドサイクルで動いていることが解ります。

 

現在は下トレンドがそろそろ終わるかもしれないと言ったところでしょうか。面白いのは3月のコロナショックによる乱高下が96日線では特に大きい影響を受けていない点です。2019年12月からの下トレンドが続く中での小さい上下にしかすぎませんし、この乱高下がどのようにして96日線に修正され収束したかの過程も、96日線に対する黄点線の関係で把握できるかと思います。

 

実際には3月の乱高下の修正サイクルはまだ続いており、これが96日線の終端で小さい上下から見て取れます。

 

このように「どのような値動きであっても長期的には収束して単なる”ゆらぎ”となり、ボラティリティバンド内に収まっていく特性を持つ」点について、私は分析する上で重視しています。またこれらの手法は、為替、株価、また海面の波や音波であろうが同様に捉えることができるとも考えています。

 

では一段上の24/96に注目してみましょう。先の96/192の短期側の96日線を今度は基準線として24日線がどのようなサイクルを描いているのかが解るはずです。当然ですが先の96/192に比べてより細かいサイクルが描かれています。3月の乱高下も24日線では多少影響を受けている事が解るでしょう。そして終端箇所に注目してみると、こちらも下トレンドは少し続きそうな気配があることも解るかと思います。もちろん、ここから大きな思惑が入り、基準値が大きく変化するかもしれません。その場合はこのチャートも大きく変化する可能性があります。

 

しかし長期になれば長期になるほど、短期の思惑の影響は小さくなり、ゆらぎとして吸収され、大きなトレンドへの影響はわずかである場合がほとんどです。

 

またここでチャートの左端の大きなサイクルに注目してください。これは米国の大統領選からのいわゆるトランプラリーにおける円安の動きを捉えたものです。面白い事に大統領選の前から96日、24日線いずれも上昇サイクルに入っています。まるで市場はトランプ氏が大統領になることを知っていたかのような動きです。

 

さらにもう一段上の12/48を見てみます。さらに細かいサイクルから構成されていることがわかります。ここまで分解能を高めると、さすがに3月の乱高下の影響もかなり大きくなっています。そして終端に注目すれば、もちろん下落サイクルはもう少し続きそうな気配ですので、もうすこし円高がありそうです。また1サイクルの長さも1~3ヶ月程度であることから、それぞれのトレンドはその半分の15~30日程度であることも解ります。もちろんコロナショックまでの1年程度はボラティリティバンドが極端に収縮していますので、いかに値動きが無かったか、為替トレーダーの苦労を伺い知ることも可能です。

 

以上のようにMAFCD2は値動きのサイクルを把握し、過去のトレンドは正確に描かれますし、最新のトレンド変化についても比較的早期に知ることができます。

 

以下、参考に日経225のチャートも添付しますので、興味のある方はここから今後のサイクルとトレンドについて考えてみてください。

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ゴールデンウィーク突入によりしばらく日本市場はお休みとなります。外出自粛により時間がたっぷりありますから、このチャンスにテクニカル分析手法を突き詰めて休み明けからのトレードの準備を入念に行っておくと良いかもしれません。

 

本ブログは休みの間も新しいアイディアや海外市場の動向に興味深い事があれば随時更新したいと考えています。

 

ではでは。良いゴールデンウィークを。

 

補足

質問があったので少し補足します。以下のチャートをご覧ください。

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これはUSDJPYのチャートにDN_MAFで描いた時間補正を加えた移動平均線で12/24/48/96日線です。

 

ちょうど2016年夏に100円を割った円高あたりのチャートで、トレンド転換がどのように発生しているか良く解るサンプルです。短い移動平均線は、長い移動平均線を基準値としたサイクルを描き出します。そしてトレンドが転換する際には、短い移動平均線が長い移動平均線から乖離して、オーバーシュートのような動きを見せた後に収束に向かいます。これは時間補正を加えた移動平均線でのみ観察できる動きで、通常の移動平均線の描き方では少し雰囲気が違います。

 

本来トレンドの変化は短い足から始まって、徐々に長い足に波及して行きます。けっして逆は起こりません。ただし通常の移動平均線の使い方では長い足が先にトレンド転換したかの様に見えることがあります。これは移動平均線が平均値を連続的に求める手法によって発生する「ダマシ」とも呼ばれる現象で、移動平均線の特性と言えるかもしれません。

 

もうひとつチャートを掲載しましょう。

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これは上記のチャートを、安値の移動平均線で描いたものです。小さな変化なので解りづらいかもしれません。値動きを分析する際の基本で「安値を更新するか否か」があります。移動平均線にしてしまいましたので厳密ではありませんが、安値がどのように推移しているかを注意深く観察することにより、トレンド転換が起きたかを把握することも可能です。

 

このトレンド転換時に発生する値動きの特徴をいくつか把握することで、より正確に値動きを予測することが可能になるでしょう。いずれダニエルツールスでもそれらを分析しやすくするインディケーターを開発したいと思っています。