ダニエルのテクニカル分析

先物・為替のテクニカル分析について考えます。同名の仮想通貨投資家の方とはまったくの別人です。

DN_MAFCD2 (Moving Average Forecast Convergence And Diveergenc) for MT4 マニュアル

本記事は私ダニエルツールスが配布するテクニカル分析用インディケーター DN_MAFCD2 (Moving Average Forecast Convergence And Diveergenc) の取扱説明書となります。

 

 


DN_MAFCD2の紹介

DN_MAFCD2 (Moving Average Forecast Convergence And Diveergenc、以下MAFCD2) は、チャートテクニカル分析で良く用いられるオシレーターツールMACDを、私が前回配布したDN_MAF(MovingAverageForecast: 移動平均予測、以下MAF)のアルゴリズムを用いて拡張、改造したものです。

 

結果的に従来のMACDとはまったく違ったオシレーターになってしまいましたが、本来の設計時の目的であった株価等の値動きの分析において、オーバーシュートと呼ばれる現象を検知するツールとして一定の成果が出ていると考えます。

 

またMAFCD2では移動平均予測のアルゴリズムを用いることにより、現在の株価より少しだけ未来のボラティリティバンド、MAFCDラインを描くことか可能です。これにより将来の値動きを予測する際の指標としても活用することが可能となります。

 

MAFCD2は当初日経225先物の値動きのチャート分析において用いることを目的に開発しましたが、株価指数はもちろん、個別株式銘柄、為替、商品先物など、あらゆるテクニカル分析において活用できます。

 


注意点.

本インディケーターで表示するシグナルは売買を示すものではありません。すでにある程度のスキルを持った中級以上のトレーダーが、ポジションを取る際の補助的な指標として活用されることを想定して開発しています。売買シグナルを求める方は購入を避けていただきますようお願いします。

 


制限事項

本インディケーターの使用にあたっては、以下についてご了承ください。

  • 本インディケーター、付属するドキュメント等のすべての権利は作者に帰属します。他の者は本作品の一部または全部を作者の許可なく加工、複写、再配布することを禁じます。
  • 本インディケーターの逆コンパイル、解析等することにより、作者の権利を侵害することを禁じます。
  • 本インディケーターを用いることにより発生した損害等については一切保証いたしません。利用者の自己責任の範囲内においてご利用ください。
  • 本インディケーターはWindows10+MetaTrader4の組み合わせで動作確認しております。他の環境での動作は保証いたしません。 

 


DN_MAFCD2のインストール

ダウンロードしたファイル「dn_mafcd_v2.ex4」をMT4の「Indicators」フォルダにコピーします。MT4の「ファイル」メニューをクリックし「データフォルダを開く」を選択してください。

f:id:hebitsukai2283:20200325225304p:plain

エクスプローラーが開きますので「MQL4」フォルダをクリックすると「Indicators」フォルダが現れますので、このフォルダに「dn_mafcd_v2.ex4」をドラッグしてコピーしたなら、エクスプローラーは閉じてMT4に戻ってください。

f:id:hebitsukai2283:20200325225247p:plain
続けてMT4のナビゲーター内にある「インディケーター」を右クリックし「更新」を選択すると「dn_mafcd_v2」が現れます。表示されない場合はただしくコピーされていない可能性がありますので、前項の操作を再度行ってください。

f:id:hebitsukai2283:20200325225232p:plain

 


DN_MAFCD2の起動

「dn_mafcd_v2」を起動するにはナビゲーター内の「dn_mafcd_v2」をチャートにドラッグします。

f:id:hebitsukai2283:20200325225210p:plain

 


DN_MAFCD2の使い方

2020年3月にMAFCD2を大幅に機能向上させました。従来のMAFCD/MAFCD2とはまったく異なったオシレーターとなっていますのでご注意ください。

 

MAFCD2では以下の機能を提供します。

 

移動平均乖離チャートの描画 長期、短期2本の単純移動平均線がどのような乖離状態にあるかを描きます。
この際従来のMACD等と違い時間補正を加えより正確に描きますので現在の株価が平均値からどれくらい乖離しているかを正しく評価することが可能です。
ボラティリティバンドの描画 値動き幅を表すボラティリティバンドを描きます。ボリンジャーバンドと同じ算出手法ですが、時間補正により比較的正しいバンドを描きます。
短期シグナルラインの描画 短期移動平均乖離がどのような状態にあるかを検知するシグナルラインを描画します。これにより、現在の値動きが拡散なのか収束なのかを比較的簡単に知ることができます。
短期シグナルアイコンの描画   短期シグナルラインの状態から、重要な変化点(オーバーシュート)を検出し、それらを示すアイコンをチャート上に描きます。旧いシグナルは消去されますのでご注意ください。
ボラティリティアラートの描画 指標や大規模な思惑などが入り値幅が平均値を大きく上回る状態が発生した場合、それらを知らせるアラートを描画します。

 

DN_MAFCD2を一つのチャートウィンドゥで複数立ち上げる多重起動は現在サポートされておりません。

 


DN_MAFCD2の動作画面 

 DN_MAFCD2を起動すると以下のようにサブウィンドウにチャートが描かれます。

f:id:hebitsukai2283:20200325224259p:plain

上記サブウィンドウ内のそれぞれのライン等について解説しましょう。

ゼロ基準ライン 中心のグレイラインをゼロ基準と呼びます。BASETermで与えた長期移動平均線を基準線として描いています。 
MAFCDライン  緑色のラインがMAFCD termで与えた短期移動平均を上記の長期移動平均線からの乖離状況として描いています。
シグナルライン  赤色のラインはMAFCDラインの状態を検知するためのシグナルラインです。シグナルラインがMAFCDラインと交差した箇所がシグナル発生の第一条件となります。
シグナルアイコン  黄色の矢印アイコンがシグナルアイコンで、株価が上下どちらかに行きすぎている(オーバーシュート)状態から収束に向かう際に、一定の条件が成立した場合に描画されます。 
ボラティリティバンド  値動きの標準偏差を表したバンドで、現在の値幅がどの程度の水準であるかの指標となります。このバンドが広い間はボラティリティが高く、狭ければ逆に低いとなります。通常のボリンジャーバンドよりも正規分布に近い値で描かれます。
ボラティリティアラート 直近の値動きに異常値が発生した場合に赤丸で描かれます。過去の値動きの平均値を大きく上回る動きが続いた場合に点灯します。このアラートが点灯している間はトレードを控えると良いでしょう。 
 予測境界 サブチャートの中程に描かれているブラウンの縦点線は、本オシレーターの予測部分と確定部分の境目を表します。このラインより左側は確定値で正確な値が描かれています。右側は予測値で今後の値動きにより再描画される箇所となります。このラインに近ければ近いほど高い精度で予測している意味も持ちます。

 


DN_MAFCD2のパラメーター

DN_MAFCD2では以下のパラメーターを指定することが可能です。またデフォルトのパラメーターはかなり安全方向で設定されていますので、トレード対象の商品特性や時間足、またトレーダーの皆さんの技量などに応じて適宜調整することをお勧めします。

f:id:hebitsukai2283:20200326090314p:plain

 

BASE term MA  乖離チャートを描く際の長期SMA期間を 24 ~ 72 の間で指定します。この期間を外れた値が指定された場合は無視します。
MAFCD term MA 乖離チャートを描く際の短期SMA期間を 6 ~ 24 の期間で指定します。この期間を外れた値が指定された場合は無視します。
Use centering ? 乖離チャートの時間補正を行うか否かを指定します。標準はONです。
Draw vline ?

乖離チャートの予測境界を示すラインを描くか否かを指定します。デフォルトはONです。

Vline width

予測境界の太さを指定します。

Vline color

予測境界の色を指定します。

Use stdev band ? 乖離チャート上にボラティリティバンドを描くか否かを指定します。デフォルトはONです。 
Stdev sigma ボラティリティバンドを描く際の標準偏差のσ値を指定します。
Use OC signal ? オーバーシュート(OverChute)シグナルを描画するか指定します。デフォルトはONです。
OC Signal term MA OCシグナルを判定する際の感度を 3 ~ 12 の間で指定します。この期間を外れた値が指定された場合は無視します。
Signal pattern シグナルアイコンのパターンを3種類から指定できます。 
Use sound ?

確定したシグナルが出現した際にサウンドを鳴らすことが可能です。

Sound file サウンドを鳴らす際のサウンドファイルを指定できます。
Sound signal offset サウンドを鳴らす際の確定位置を調整することが可能です。
Use ATR signal ? ボラティリティアラートを描くか否かを指定します。デフォルトはONです。

 


オーバーシュートについて

ここでMAFCD2の特徴のひとつであるオーバーシュートの検知について解説しましょう。

以下は2020年3月23日早朝の日経225CFDの動きです。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/h/hebitsukai2283/20200323/20200323084155.png

この日の早朝オセアニア時間でCFDが動き出した際、窓をあけて大きくギャップ段した後激しく15300台まで売られています。そして安値で下ひげを作り反発するも、今度は戻り過ぎたかのように売られて19060付近で値動きが安定します。

 

この時の下への下げ過ぎ、上への戻り過ぎの2カ所をオーバーシュートと呼んでいます。自動車で速度を下げずにカーブに進入したところ、大きくはらんでしまったので本来のコースに戻るためにハンドル操作で修正するシーンを想像してみてください。これが値動きでも発生します。

 

MAFCD2では、本来の株価等が目指しているであろう価格を計算により求め、現在の株価等が行きすぎの状態を検知する機能を持ちます。そして行きすぎ(オーバーシュート:OC)の可能性が高ければ矢印アイコンをシグナルとして表示し知らせてくれます。

 

このシグナルをどのように活用するかは、MAFCD2を使用するトレーダーのみなさんです。もし経験を積んだトレーダーの方なら、オーバーシュートをどのように捉えて、どのようにトレードすれば良いかすぐに理解できるはずです。

 


DN_MAFCD2による運用例

DN_MAFCD2を用いて実際に225CFDのチャート分析を行う例について以下に記載します。

 

以下のチャートは225CFDの1分足で、2020年3月25日18:00頃のものです。

f:id:hebitsukai2283:20200325233436p:plain

ざっとチャートを見渡してみると、現在は下側のOCシグナルが出現し、中央線に戻りつつあります。これは値動きが下げすぎた可能性があり平均値に戻りつつあることを示しています。その前のOCシグナルは上側に表示されており、いったん上にもOCが発生していることが分かるでしょう。上段の値動きと比べてみると良く解るかと思います。

 

緑のラインが短期移動平均が長期移動平均からどれくらい乖離しているかを示しており、灰色の点線は値幅の標準偏差の0.6σとなります。

 

緑のラインは若干の上昇傾向ですが鈍りが見て取れます。赤のラインがシグナルで、緑と交差したところがOCシグナルとなりますが、本オシレーターでは他のいくつかの要件が成立しないとOCとは判定しませんので、若干交差したところから表示が遅れます。

 

f:id:hebitsukai2283:20200325233439p:plain

先のチャートから3分が経過しました。値は更に上昇しており、先のOCシグナルの精度が上がってきました。中央あたりに見える赤い縦線が予測境界で、これより右側の領域は計算で求めた予測範囲となり、予測境界に近づけば近づくほど精度は高くなります。

 

この時点で確定ではありませんが、先の下げはOCであった可能性は高いと判断できます。

 

f:id:hebitsukai2283:20200325233443p:plain

さらに4分が経過しました。値動きは若干頭打ちとなり、MAFCD2でも緑のラインからそれが読み取れます。ボラティリティバンドから上側に抜けており、これもOCである可能性がでてきましたが、まだこの時点で判断するのは時期尚早といったところです。

 

f:id:hebitsukai2283:20200325233452p:plain

さらに5分が経過しました。値はずいぶんと垂れて、緑ラインも同様に垂れています。シグナルとも交差していますがOCシグナルはまだ点灯しません。もうすこし様子を見てみます。

 

f:id:hebitsukai2283:20200325233457p:plain

9分が経過したところでOCシグナルが点灯しましたが値と緑ラインは戻って来ており、シグナルと再度交差しています。

これはMAFCD2ではよくある現象で、チャートが狭いレンジでの揉み合い状態に入った場合に発生します。このような状態の場合は様子見が必要です。

 

f:id:hebitsukai2283:20200325233507p:plain

15分ほど経過しました。先のOCシグナルは消えて、新たにOCシグナルが点灯しています。値動きは相変わらずボックスを描いており、これも注意が必要です。

 

f:id:hebitsukai2283:20200325233509p:plain

5分経過です。値が戻りOCシグナルが消えましたので、まだ揉み合いの最中です。

 

f:id:hebitsukai2283:20200325233512p:plain

先のチャートからさらに10分が経過しました。途中スクリーンショットが間に合わなかったのですが、価格が崩れてきたところで先のOCシグナルが再度点灯したのち、下落のスピードを速めてきました。

 

ここで予測境界周辺の緑ラインとOCシグナルに注意してください。緑ラインがずいぶんと変化しています。これは長期移動平均との乖離が大きい事を示しており、それだけ激しく下落していることを示しています。同様にグレイのボラティリティバンドも広がっていることが分かるでしょう。

 

そして基準線に赤いシグナルが点灯しました。これはボラティリティアラートで値動きが激しいことを知らせてくれます。このシグナルが点灯している間は特に注意が必要な状況です。

 

f:id:hebitsukai2283:20200325233520p:plain

8分が経過しました。下落は一段落したようで値は反発の傾向があることを示しています。緑ラインとシグナルラインもボラティリティバンドの外で交差しそうです。このまま反発が続くなら下側のOCシグナルが点灯するかもしれません。

 

f:id:hebitsukai2283:20200325233523p:plain

 5分が経過したところでOCシグナルの点灯です。やはり先の下値はOCであったことが分かりました。

 

以上のようにチャートの値動きからオーバーシュートを検出して知らせてくれるのが、このMAFCD2の機能です。これを実際のトレードにどのように生かすかはみなさん次第ですが、すでにある程度の技量を持った方でしたら、おそらくこのオシレーターはなかなか役に立つでしょうし、この運用例からなにか気がついたかもしれません。

 

また、私が提供するもう一つのDN_MAFM2は、MAFCD2と違ってモメンタムとトレンドの変化を検出してチャート上に描くことができます。この2つでマルチタイムフレーム(MTF)運用することにより、かなり高い精度のチャート分析が可能になると考えています。

 

 

daniel-jp.hatenablog.com