ダニエルのテクニカル分析

先物・為替のテクニカル分析について考えます。同名の仮想通貨投資家の方とはまったくの別人です。

移動平均線の特性について(その2)

この記事では移動平均線のさまざまな種類について解説しようと思ったのですが、アウトプット的になにも無い文章になることが明らかでしたので、ヒマでネタが無い時用に取っておくことにして、もうちょっと移動平均線の不思議な特性について書いていこうと思います。

 

前回紹介したチャートに、未来側に12日ずらした12日線を描いてみます。今回はこの動きを追ってみたいと思います。

 

黄色ラインは25日線、赤ラインが12日線です。

 

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CFD225チャートその1

 

ここで考えを整理してみましょう。最新のローソクの位置にある25日線は、過去25日間で建てられたポジションの平均値です。では、この位置の12日線は何を意味するでしょうか。

 

12本分未来側にずらしているので、この12本線は25日線の前半12日分で建てられたポジションの平均値となります。つまり25日線の前半部のポジションと、25日全体のポジションの相関関係を示しているわけです。

 

ここで上記のチャートからすこし過去にもどって7月26日に注目してみましょう。この時点での12日線は22000あたりを指しています。いっぽう25日線は22350辺りを指します。これは何を意味するのでしょうか。

 

もちろん「26日時点での過去25日で建てられたポジションは22350あたりで、そのうち前半部分の12日は22000の低い価格で建てられている」です。

 

ちょっと遡ってチャートを検証してみましょう。

 

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CFD225チャートその2


確かに前半の12日あたり7月12日までの株価は奮いません。一方12日の陽線から株価は高値を推移しています。これにより25日線は、12日ずらした12日線に比べてなんとか高値を保って強く見えているだけです。

 

この場合ですと、株価は25日線よりも上に位置しますから25日線は上を目指します。12本線も過去の安値の影響が消えますので、ここから徐々に上を目指します。

 

どうですか?なにか気づきませんか?ただ単に12日線をずらしただけなのに、いろいろなことが想像できてきます。12日線はこの後上値を目指していきます。もし株価がこのままの位置であれば12日線の下に株価が潜り込みます。そうするといずれ12日線も株価に向かって下がり出すでしょう。25日線も同様です。逆に株価が12日線よりも強い角度で上昇するなら、上放れの形になり、より強い上昇相場となるはずです。

 

では、このチャートをあらためて見てみましょう。株価と25日線の動きはいまひとつ奮いません。ローソク足の上ひげをつけながら頭を抑えられ、なんとも重たい感じがします。

 

すこしチャートを進めてみます。

 

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CFD225チャートその3

 

下げようとする圧力と支えようとする力がぶつかりあってボックス相場になっています。時間が経過することにより25日線が株価に追いついてしまいました。また12日線の下に株価が潜り込みそうです。

 

この位置の株価と移動平均線を整理すると、

  • 過去25日間で取られたポジションと株価がほぼ等しいので売り買いともに損益はゼロの状態
  • 過去25日間の前半12日で取られたポジションよりわずかに株価が下回りだし、買いポジションは損失がでている
  • このままの株価で推移するなら、過去25日間の前半12日で取られたポジションは損失が膨らむので損切りを考え出す

となります。売り方のポジションもありますから、こちらは利益が出るので利食いのタイミングを考えていることでしょう。

 

そして最後のローソク足が長い上ひげとともに陰線を引いていますので、これは買い方が強い売りの抵抗で抑え込まれた状態であることを示しています。

 

ではさらにチャートを進めてみます。

 

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CFD225チャートその4


株価は12日線、25日線の下に潜り込んだところから激しく売られてしまいました。こうなると過去25日で取られた買いポジションはすべて損失になり、損切りの売りを呼びさらに下落します。また売ポジションは利益が出ていますので、利食いの買いが入り株価の下落の抵抗となります。

 

ちょうど13日の長い下ひげが売り買いのバランスが取れたところになりそうです。そして14日に長い陽線をつけて切り返したかのように見えます。

 

このとき12日線の25日あたりに注目してください。ちょうど株価が下値をつけたあたりを推移しています。これは、過去にこのあたりまで株価が下落したことを示していますので、この位置で売り買いされたポジションが残っている可能性を示しています。残っている買ポジションがあるなら、この下落で微益で撤退、残っている売ポジションがあれば、同値の近くで同様に撤退するかもしれませんので、この下落したあたりで売り買いが交錯している可能性があります。

 

移動平均線をちょっと工夫するだけで、なんとなく移動平均線ローソク足の動きの意味がいろいろと分かってきませんか?

 

ここまで一切のニュースやファンダメンタル等の外的要因を考慮していません。それでもなんとなく値動きが読めそうです。これがテクニカル分析の楽しさなのです。