株価の平均値について その2
前回は、株価の分析において標準偏差や値の乖離を評価する際に、従来の移動平均線をマイナス方向にシフトすることの必要性について解説しました。
さて、その際に問題となった「最新の株価近辺の平均値が得られない」点についての解決方法について考えてみましょう。
以下のチャートをご覧ください。これは2020年1月2日時点での日経225CFDの日足チャートに12日線を-6日シフトし描いたものです。
ー6日分シフトしてしまったので、直近6日間の平均値を得ることができません。当然ですね。
しかし、12日線が過去のローソク足の中を通っていく様子を見ていると、描かれていないところについてもなんとなく「ここらへんを通るのでは無いか?」といった感じで軌跡がぼんやりみえてきませんか?
そうです。時間的補正を加えた移動平均線は株価の変動の中心値周辺を進む特性があります。したがってこの移動平均線の動きを延長してあげれば良いのです。
この延長部分を求めるためには回帰直線を用いる方法など、さまざまな手法が存在します。
たとえばボクが開発したDN_MAF(MovingAverageForecast)では実際に予測手法を用いて将来値を求め描画することができます。以下がそのサンプルで、上記のチャートと同様に日経225CFDの日足チャートにー6日シフトした12日線を描いています。
TradingViewとは株価データを提供するブローカーが異なるため1月1日のデータが欠けている点についてはご勘弁ください。それでも「ここらへんを通るのでは無いか?」が実現されていることが解っていただけるかと思います。
もちろん、このチャートで描いた12日線の直近6日分は予測値であるため、今後の株価の動きによっては大きく異なる可能性があります。DN_MAFでは株価が変動する度に予測部分を再計算し描き直しますので、6日経過すれば正しい12日線が描かれます。
DN_MAFについては「ダニエルツールス」にて配布しています。動作時間を制限していますが無料で利用えるフリー版も用意してありますので、ご興味のあるかたは試していただければと思います。Windows+MetaTrader4の環境で動作します。
TradingViewでも実装を試みたのですが、使用されている簡易言語の仕様で実現することが難しいため断念しました。
さて、移動平均線の時間的補正を導入して最新の株価まで描くことが出来ましたので、次回の記事ではまたボリンジャーバンドに戻りたいと思います。