MACDについて その3
ちょっと間が開いてしまいました。MACDについてまた少しずつ書いていきます。
MACDを用いて分析作業を行う際、ダイバージェンス・ヒドゥンダイバージェンスなどと表現される状態に巡り会うことがあると思います。トレンドが転換するサインとされていますが、これがなぜ起きるのかについて、ちょっとだけ考えてみましょう。
以下のチャートは日経225CFDの60分足チャートで、2019年12月11日からの値動きです。
上記チャートで2カ所ダイバージェンスっぽい箇所が存在しています。12月13日からのダイバージェンスでは、株価が切り上がりを見せているにもかかわらず、MACDのシグナルポイントが下降しています。一方で18日からのダイバージェンスでは株価が下降しながらも、MACDのシグナルポイントが上昇しています。
これは何を意味するのでしょうか?
たしかにダイバージェンスが発生したあとは、トレンドが反転しているように見えますが、18日からのダイバージェンスでは、その後いったんは高値を狙う動きを見せつつも結局は23000割れの一歩手前まで大きく下落しています。
このダイバージェンスのメカニズムはけっこう単純で、特に珍しいものではないとボクは考えています。
1番目のチャートの13日からのダイバージェンスの株価の値動き箇所だけ拡大してみました。
このチャートの様に強く上昇してきた株価が、その上昇力を鈍らせてつつも高値を更新して、力尽き崩れたといった状況で発生します。
青い12EMAが黄色の26EMAの上を推移しています。株価が積極的に高値を取りますので、当然12EMAは26EMAよりも強く上昇します。ここで急激な調整が入ったとします。12EMAは26EMAよりも値動きに敏感ですから当然下がり出します。
しかし一時的な調整であったため株価は持ち直して再度高値を取りに行きますが、以前の勢いはありません。それでも12EMAが26EMAの上を推移しながらなんとか高値を更新できました。
そして再度調整が入り12EMAが反応して上昇を止めると、めでたくダイバージェンスのできあがりです。
みなさん、鍋山とか鍋底といった天井、底打ちのチャート形状をご存じでしょうか。あれに細かい調整が入るとまさにダイバージェンスができあがります。
トレンドが反転する際のサインとしての信頼性がはたしてあるのかどうかはボクには良くわかりませんが、それほど異常な値動きではないことが解っていただけたのではないでしょうか。
以下は、1番目のチャートに対してボクが開発したDN_MAFCDを加えたものです。
DN_MAFCDでは時間補正を加えた単純移動平均線を用いて値動きの乖離を比較的正確に表すことができます。上記チャートのダイバージェンスがどのような状況で発生しているかがわかると思います。
26日線をゼロ基準の中心線として、12日線を青、株価を赤で示しています。
12日線と株価の値動きの振幅が徐々に小さくなる過程でダイバージェンスが発生しています。
緑色は時間補正を加えてたボリンジャーバンドで、こちらはその際のボラティリティを読み取るために描きました。こちらも値動きの振幅が徐々に狭まっているのが解ると思います。
このようにしてMACDのダイバージェンスと呼ばれる現象が発生しているのですが、「かならずトレンドの反転が起きる」等の盲信をせず、発生するための条件を理解した上で冷静に分析することで、より正確にチャート分析が可能になるでしょう。
文中で用いたダニエルツールスのDN_MAFCDについては以下で無料の試用版を入手することが可能です。ボリンジャーバンドを描く機能については2月中に実施するバージョンアップまでお待ちください。