ダニエルのテクニカル分析

先物・為替のテクニカル分析について考えます。同名の仮想通貨投資家の方とはまったくの別人です。

MACDについて その4

MACDを構成する重要な要素として、やはりEMA(指数加重移動平均)を用いている点があります。このEMAの特性についてちょっと調べてみました。かなり僕の趣味の領域に入り込んでますので、人によっては読むのがつらく感じるかもしれませんし、また物足りなく感じる場合もあるかもしれません。


以下はCFD225の日足データから単純移動平均の9日SMAを黄線、9日EMAを赤線で描いたチャートです。EXCELを用いて描いてみました。

 

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EMAその1

赤線が9日EMAとなります。先日投稿した「移動平均線の種類」で解説したように、株価の値動きに対し、SMAのそれよりも動きが活発になる印象を受けます。

 

これは直近の値を2倍して加算するEMAの特性で、この応答性の良さから愛用する方が多いと思います。使い方としては普通の移動平均と同様に現在のトレンドの方向を知る、これまで積み上げられたポジションの平均値と株価の相関関係を分析した結果を今後の投機行動の指標にするといったところです。

 

この使い方についてボクはまったく異論はありません。

 

ただし、もし株価を統計的に分析しようとする場合は、EMAのこの特性が邪魔をしますので若干の注意が必要です。以下のその例を示します。

 

以下は疑似データを用いて作成したチャートです。青線が元データ、赤線が6本EMA、黄色線が6本SMAです。

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EMAその2

元データの大きな動きに対しては、EMAがより積極的に反応し、また平滑化されて描かれていることが解ると思います。これに比べるとSMAは若干遅れ気味になることと、描かれる線がぎこちない感じもします。これらがEMA、SMAの特性を如実に表していると考えています。


では、まずMACDで用いられるように、12本EMAを緑色で加えて、現値と6EMA、12EMAの乖離がどのように発生しているか見てみましょう。

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EMAその3

一方SMAで同じ様に描くとどうなるでしょうか。

 

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EMAその4

ずいぶん雰囲気が変わりました。ぱっと見た目にはSMAよりもEMAの方がきれいにチャートとして収まっているように思えます。またMACDで重要視する2つのEMAが交差する箇所などはSMAのそれよりも早めに反応がでていることもわかります。

 

しかしボリンジャーバンドの解説で触れたように、移動平均線を期間の1/2だけ過去にオフセットさせることで、原資産の価格の推移の中心あたりを通る特性を利用して乖離状態を比較してみると印象がずいぶん変わります。

 

まずEMAで時間補正を加えたチャートです。 

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EMAその5

一方でSMAで描いたチャートは以下のとおりです。

 

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EMAその6

細かいところですが、EMAはSMAに比べて値動き後の値の収束が遅れ気味になるため、大きな値動きがあると影響が後々まで残ってしまいます。SMAはなるべく早く収束しようとします。このおかげで原資産価格の変動範囲内になんとか収まりますが、EMAだと値動きについてこれない箇所が出てしまいます。

 

そして6SMAと6EMAを重ね合わせて時間補正を加えたチャートは以下のようになります。大きな値動きが発生したあとの値の収束で若干の遅れが発生するEMAの特性がお判りでしょうか。

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EMAその7

 

もうひとつ参考チャートを掲載します。

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EMAその8

一瞬異常値がでた場合にどの程度影響が残るかを比較したチャートです。スケールが大きくなるので対数スケールにしています。

 

EMAではその求め方から、過去の値動きの影響は最終的に誤差の範囲になりますがほぼ永久に残ります。そのため単純に同じデータをもとに期間の違い2つのEMAを比較する際は注意が必要になる場合があります。ここが統計的な分析にEMAやMACDを用いる際に注意が必要な個所です。

 

ただボクはこのEMAの特性が我慢できずに、すべてのダニエルツールの開発ではSMA(単純移動平均)を使用しています。

 

このようにMACDとそれを構成するEMAが持つ特性を把握することは、これらを用いてテクニカル分析を行う際に役に立つのではないでしょうか。

 

今回はほぼボクの趣味の世界に入り込んでしまいましたし、ほんとうはもっと書き込みたかったのですが、途中で「これ読まれないだろうな」と気が付いたので、若干わかりづらい点や物足りない点もあるかと思いますがご容赦ください。

 


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