ダニエルのテクニカル分析

先物・為替のテクニカル分析について考えます。同名の仮想通貨投資家の方とはまったくの別人です。

DN_MAFCD2 Ver2.3 (Moving Average Forecast Convergence And Diveergenc) for MT4 マニュアル

本記事は私ダニエルツールスが配布するテクニカル分析用インディケーター DN_MAFCD Ver2.3 (DN_MAFCD23:Moving Average Forecast Convergence And Diveergenc) の取扱説明書となります。

 

DN_MAFCD2は2020年4月12日にマイナーアップデートを実施し DN_MAFCD2 Ver2.3となりました。あたらしいインディケーター名も「dn_mafcd_v23」となります。これまでDN_MAFCDをご購入のみなさまは、再度それぞれの購入サイトからダウンロードし、インストールしてください。インディケーター名も「dn_mafcd_v23」で再度設定をお願いします。

 

 


DN_MAFCD2 Ver2.3の紹介

DN_MAFCD2 Ver2.3(Moving Average Forecast Convergence And Diveergenc、以下MAFCD2) は、チャートテクニカル分析で良く用いられるオシレーターツールMACDを、私が前回配布したDN_MAF(MovingAverageForecast: 移動平均予測、以下MAF)のアルゴリズムを用いて拡張、改造したものです。

 

結果的に従来のMACDとはまったく違ったオシレーターになってしまいましたが、本来の設計時の目的であった株価等の値動きの分析において、オーバーシュートと呼ばれる現象を検知するツールとして一定の成果が出ていると考えます。

 

またMAFCD2では移動平均予測のアルゴリズムを用いることにより、現在の株価より少しだけ未来のボラティリティバンド、MAFCDラインを描くことか可能です。これにより将来の値動きを予測する際の指標としても活用することが可能となります。

 

MAFCD2は当初日経225先物の値動きのチャート分析において用いることを目的に開発しましたが、株価指数はもちろん、個別株式銘柄、為替、商品先物など、あらゆるテクニカル分析において活用できます。

 


注意点.

本インディケーターで表示するシグナルは売買を示すものではありません。すでにある程度のスキルを持った中級以上のトレーダーが、ポジションを取る際の補助的な指標として活用されることを想定して開発しています。売買シグナルを求める方は購入を避けていただきますようお願いします。

 


制限事項

本インディケーターの使用にあたっては、以下についてご了承ください。

  • 本インディケーター、付属するドキュメント等のすべての権利は作者に帰属します。他の者は本作品の一部または全部を作者の許可なく加工、複写、再配布することを禁じます。
  • 本インディケーターの逆コンパイル、解析等することにより、作者の権利を侵害することを禁じます。
  • 本インディケーターを用いることにより発生した損害等については一切保証いたしません。利用者の自己責任の範囲内においてご利用ください。
  • 本インディケーターはWindows10+MetaTrader4の組み合わせで動作確認しております。他の環境での動作は保証いたしません。 

 


DN_MAFCD2のインストール

ダウンロードしたファイル「dn_mafcd_v23.ex4」をMT4の「Indicators」フォルダにコピーします。MT4の「ファイル」メニューをクリックし「データフォルダを開く」を選択してください。

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エクスプローラーが開きますので「MQL4」フォルダをクリックすると「Indicators」フォルダが現れますので、このフォルダに「dn_mafcd_v23.ex4」をドラッグしてコピーしたなら、エクスプローラーは閉じてMT4に戻ってください。

 

最新版は「dn_mafcd_v23.ex4」となりますのでご注意ください。

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続けてMT4のナビゲーター内にある「インディケーター」を右クリックし「更新」を選択すると「dn_mafcd_v23」が現れます。表示されない場合はただしくコピーされていない可能性がありますので、前項の操作を再度行ってください。

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DN_MAFCD2の起動

「dn_mafcd_v23」を起動するにはナビゲーター内の「dn_mafcd_v23」をチャートにドラッグします。

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DN_MAFCD2 Ver2.3の使い方

2020年3月に大幅に機能を向上させたMAFCD2について、その後いただいた意見などを参考に細かく改修を進めてより安定して動くオシレーターとして仕上げています。まだ改修すべき箇所がありますが、これらは逐次対応していく予定ですので、今しばらくお待ちください。

 

MAFCD2では以下の機能を提供します。

移動平均乖離チャートの描画 長期、短期2本の単純移動平均線がどのような乖離状態にあるかを描きます。
この際従来のMACD等と違い時間補正を加えより正確に描きますので現在の株価が平均値からどれくらい乖離しているかを正しく評価することが可能です。
ボラティリティバンドの描画 値動き幅を表すボラティリティバンドを描きます。ボリンジャーバンドと同じ算出手法ですが、時間補正により比較的正しいバンドを描きます。
短期シグナルラインの描画 短期移動平均乖離がどのような状態にあるかを検知するシグナルラインを描画します。これにより、現在の値動きが拡散なのか収束なのかを比較的簡単に知ることができます。
短期シグナルアイコンの描画   短期シグナルラインの状態から、重要な変化点(オーバーシュート)を検出し、それらを示すアイコンをチャート上に描きます。旧いシグナルは消去されますのでご注意ください。
ボラティリティアラートの描画 指標や大規模な思惑などが入り値幅が平均値を大きく上回る状態が発生した場合、それらを知らせるアラートを描画します。

 

さらに今回の改修では以下の機能を追加、改修しました。

 

短期シグナルアイコンの精度向上 オーバーシュートを示す短期シグナルアイコンについて精度を向上させました。若干出現タイミングが遅れますが精度は前作より向上しています。
多重起動の対応 複数のMAFCD2を同時に起動できるよう対応しました。これまでは予測境界ラインが消えるなどの現象がありましたが、これらを改修しています。
TICKモードの新設 オシレーターチャートの更新タイミングを新しいローソク足が出現した際、またはTICKが発生した際のいずれかを選択できます。従来はTICK単位固定でしたが画面更新が頻繁で判断に迷いがあるとの意見で選択できるよう対応しました。
価格ライン描画機能 オシレーターラインに対して現在の価格位置がどのような状態かを示すラインを描くことができます。これまでMAFCDラインでのみ判断していましたが、実際の価格がどの位置にあるか、相対的に比較することができます。

  


MAFCD2の動作画面 

 MAFCD2を起動すると以下のようにサブウィンドウにチャートが描かれます。

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上記サブウィンドウ内のそれぞれのライン等について解説しましょう。

ゼロ基準ライン 中心のグレイラインをゼロ基準と呼びます。BASETermで与えた長期移動平均線を基準線として描いています。 
MAFCDライン  緑色のラインがMAFCD termで与えた短期移動平均を上記の長期移動平均線からの乖離状況として描いています。
シグナルライン  赤色のラインはMAFCDラインの状態を検知するためのシグナルラインです。シグナルラインがMAFCDラインと交差した箇所がシグナル発生の第一条件となります。
価格ライン 黄点線のラインは現在の価格の相対位置を示します。PRICE term MAでラインの平滑度を調整できます。現在の価格がそれぞれのラインとどのような関係にあるかを知ることができます。 
シグナルアイコン  黄色の矢印アイコンがシグナルアイコンで、株価が上下どちらかに行きすぎている(オーバーシュート)状態から収束に向かう際に、一定の条件が成立した場合に描画されます。 
ボラティリティバンド  値動きの標準偏差を表したバンドで、現在の値幅がどの程度の水準であるかの指標となります。このバンドが広い間はボラティリティが高く、狭ければ逆に低いとなります。通常のボリンジャーバンドよりも正規分布に近い値で描かれます。
ボラティリティアラート 直近の値動きに異常値が発生した場合に赤丸で描かれます。過去の値動きの平均値を大きく上回る動きが続いた場合に点灯します。このアラートが点灯している間はトレードを控えると良いでしょう。 
 予測境界 サブチャートの中程に描かれているブラウンの縦点線は、本オシレーターの予測部分と確定部分の境目を表します。このラインより左側は確定値で正確な値が描かれています。右側は予測値で今後の値動きにより再描画される箇所となります。このラインに近ければ近いほど高い精度で予測している意味も持ちます。

 


DN_MAFCD2のパラメーター

DN_MAFCD2では以下のパラメーターを指定することが可能です。またデフォルトのパラメーターはかなり安全方向で設定されていますので、トレード対象の商品特性や時間足、またトレーダーの皆さんの技量などに応じて適宜調整することをお勧めします。

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BASE MA term 乖離チャートを描く際の長期SMA期間を 24 ~ 72 の間で指定します。この期間を外れた値が指定された場合は無視します。
MAFCD MA term 乖離チャートを描く際の短期SMA期間を 6 ~ 24 の期間で指定します。この期間を外れた値が指定された場合は無視します。
Draw price MA 価格ラインを描くか否かを指定します。デフォルトはONです。
PRICE MA term 価格ラインを描く際の短期SMA機関を2~6の機関で指定します。この期間を外れた値が指定された場合は無視します。
Use centering ? 乖離チャートの時間補正を行うか否かを指定します。標準はONです。
Draw vertical line ?

乖離チャートの予測境界を示すラインを描くか否かを指定します。デフォルトはONです。

Vertical line width

予測境界の太さを指定します。

Vertical line color

予測境界の色を指定します。

Use stdev band ? 乖離チャート上にボラティリティバンドを描くか否かを指定します。デフォルトはONです。 
Stdev sigma ボラティリティバンドを描く際の標準偏差のσ値を指定します。
Use OC signal ? オーバーシュート(OverChute)シグナルを描画するか指定します。デフォルトはONです。
OC Signal term MA OCシグナルを判定する際の感度を 3 ~ 12 の間で指定します。この期間を外れた値が指定された場合は無視します。
Signal pattern シグナルアイコンのパターンを3種類から指定できます。 
Use sound ?

確定したシグナルが出現した際にサウンドを鳴らすことが可能です。

Sound file サウンドを鳴らす際のサウンドファイルを指定できます。
Sound signal offset サウンドを鳴らす際の確定位置を調整することが可能です。
Use ATR signal ? ボラティリティアラートを描くか否かを指定します。デフォルトはONです。

   


MAFCD2の多重起動

MAFCD2 Ver2.3では多重起動に対応しました。 以下は2つの異なるパラメーターでMAFCD2を起動したチャートです。

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このように複数のMAFCD2を異なるパラメーターで起動し、複数のタイムスパンでの値動きの推移とオーバーシュートを把握することで、より高度な分析が可能となります。

 


TICKモード

MT4のインディケーターを算出し画面に描き出すタイミングとしてはいくつかが存在するのですが、もっとも一般的なのは新しいローソク足が出現したタイミングで、1本前までの値を一括で計算する手法、もうひとつが新しいデータ「TICK」を受信する度に書き換える手法です。

 

旧MAFM2ではTICKモードで固定されていましたが、Ver2.3では「Use tcik mode ?」で指定することができます。デフォルトでは「ON」のTICKモードで動作します。

 

TICKモードでは新しいTICKデータを受信する度に予測値を再計算してインディケーターとして描画します。この場合頻繁に画面が書き換わりますので、視覚的には変化が楽しめる側面もありますが、冷静に値動きを判断する際には邪魔に感じる場合もあります。そのような場合にはTICKモードに「OFF」を指定してください。これで5分足のチャートであれば、足が確定した際に一括で計算し結果を描画します。計算量も減りますので動作がより軽快になりPCの不可が減少するという利点もあります。

 


オーバーシュートについて

ここでMAFCD2の特徴のひとつであるオーバーシュートの検知について解説しましょう。

以下は2020年3月23日早朝の日経225CFDの動きです。

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この日の早朝オセアニア時間でCFDが動き出した際、窓をあけて大きくギャップダウンした後激しく15300台まで売られています。そして安値で下ひげを作り反発するも、今度は戻り過ぎたかのように売られて19060付近で値動きが安定します。

 

この時の下への下げ過ぎ、上への戻り過ぎの2カ所をオーバーシュートと呼んでいます。自動車で速度を下げずにカーブに進入したところ、大きくはらんでしまったので本来のコースに戻るためにハンドル操作で修正するシーンを想像してみてください。これが値動きでも発生します。

 

上記の値動きにMAFCD2で描いたチャートが以下のようになります。

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急激な下げにより値が一気にボラティリティバンドの下限を突破し急激に戻る様子が理解できると思います。そして値動きの安定化と共にボラティリティバンドが収束、新しい値動きができ上下の振幅を大きくして行くと、再度ボラティリティバンドが拡散して行きます。そして値動きの振幅が大きくなればなるほどオーバーシュートが発生しやすくなります。

 

従来のMACDなどのオシレーターでもある程度のオーバーシュートを検知することも可能でしたが、値動きの中心となる基準の指標が無いために、少し使いづらい側面がありました。

 

MAFCD2では、本来の株価等が目指しているであろう値動きの基準値を予測して求め、現在の株価等が行きすぎの状態を検知する機能を持ちます。そして行きすぎ(オーバーシュート:OC)の可能性が高ければ矢印アイコンをシグナルとして表示し知らせてくれます。

 

このシグナルをどのように活用するかは、MAFCD2を使用するトレーダーのみなさんです。もし経験を積んだトレーダーの方なら、オーバーシュートをどのように捉えて、どのようにトレードすれば良いかすぐに理解できるはずです。

  


MAFCD2の運用例

運用例についてはいずれ別記事にて紹介します。